昨日直したはずの計算を、今日も同じように間違えている。この記事では、こうした答えの書き直しで終わる見直しで同じミスが残る理由を、学習中の訂正と、算数の練習の並べ方の研究から説明します。そのうえで、途中の違いを一か所見つけて解き直し、数日後に混ぜて確かめる方法を紹介します。
「直したのに、なんでまた間違いなの?」
仕事から帰って、小学2年の子の宿題を見ています。昨日、赤で直したはずの繰り上がりのたし算を、今日も同じように間違えていました。「また同じ所だよ」と言うと、子どもは「ちゃんと直したのに」と不満そうです。
昨日は、夕食とお風呂の前に終わらせたくて、正しい答えを教えて書き直させただけでした。時間をかけて見てあげたい気持ちはあるけれど、何をすれば「直した」ことになるのかが分かりません。
子どもの注意力の問題と決めつける前に、直し方そのものを見直してみます。
子どもから見ると、赤で直した答えは「もう終わった問題」です。また間違いと言われる理由は、まだ見えていません。
原因は二つ:答えだけの訂正と、同じ型を続ける練習
同じミスが残る理由は、研究から大きく二つ考えられます。
理由1
答えを写して直すと、違った場所が分からないまま残る
学習中のフィードバック(答え合わせや訂正)の研究をまとめたレビューでは、正しいか間違いかを伝えるだけより、その答えがなぜ違うのかに触れる説明の方が、学習を助けるという見方が広がっていると整理されています。また、答える前に答えを見られる状態では、訂正の効果が下がっていました(Shute, 2008)。
正しい答えを書き写すと、見た目は直っています。でも、繰り上がりを忘れたのか、位の意味があいまいなのか、どこで考えが違ったのかは分からないままです。
研究の範囲
成人やコンピューターでの学習も含めた研究のまとめで、効果は子どもの力や問題の難しさで変わります。家庭では、訂正のあとで子どもが自分で説明できるかを見ると、伝わったかどうかを確かめられます。
理由2
同じ型の問題を続けると、解き方を選ぶ練習にならない
算数の練習を調べた研究では、同じ種類の問題を続けて何問も解いても、長く残る効果はほとんどないと報告されています。一方、種類の違う問題を混ぜたり、同じ種類の問題を日を空けて出したりすると、後日のテストの点が大きく上がりました。混ぜると、問題を見て解き方を選ぶ練習になるためと説明されています。小学4年生の実験でも、混ぜる効果が確かめられています(Rohrer & Hartwig, 2020)。
同じ型が並んだページをすらすら解けるのは、解き方を選ばなくても済むから、という面もあります。
繰り上がりの問題が並んだページなら、どれも同じ手順で解けます。ところが別の日に、繰り上がりのない問題やひき算と混ざると、繰り上がりに気づけずに同じ所で間違えます。
研究の範囲
米国の小学生・中学生の教室で確かめられた結果です。混ぜる練習は少し難しく感じますが、その手ごたえも練習の一部と考え、1問ずつから始めると続けやすくなります。
対策は二つ:違う一か所を確かめ、数日後に混ぜて解く
二つの理由に対応して、対策も二つあります。
対策1
答えを直す前に、違った一か所とその意味を確かめる
理由1への対策です。答えを教える前に、子どもの途中と解説の途中を並べて、違う所を一か所だけ見つけます。そのうえで、なぜそうなるのかを確かめます。

対策2
数日後に、数字を変えた問題を混ぜて解き直す
理由2への対策です。その日に解き直せたら終わりにせず、数日後に数字を変えた1問を、ほかの種類の問題に混ぜて出します。問題を見て「これは繰り上がりがある」と気づけるかを確かめます。

今日の丸つけでは、正しい答えを書く前に「どこまで合ってた?」と一言だけ聞いてみてください。
今日の一問で、途中を見比べて解き直す
今ある宿題や問題集で試せます。全部の間違いを一度に直そうとせず、その日に扱うのは一問で十分です。
その日
途中を見て、一か所を確かめ、自分で解き直す
- 途中を消さずに「どう考えた?」と聞く間違えた答えを消す前に、筆算やメモを見ながら説明してもらいます。「うっかり」で片づけず、どこまで合っていたかを一緒に見ます。
- 解説と比べて、違う一か所を見つける解説の途中と並べて、最初に違いが出た所を指さします。36+27なら「一の位は6+7=13で合っている。十の位に1が足されていないね」のように、一か所だけを言葉にします。
- その一か所の意味を、物や図で確かめる13は「十のまとまり1つと、一が3つ」だと、ブロックや10円玉と1円玉で並べてみます。繰り上がった1が「十」であることが分かれば、十の位に足す理由も分かります。
- 答えを隠して、自分でもう一度解く解説を閉じて、同じ問題を最初から解きます。できたら「前と何を変えた?」と聞き、一言で説明してもらいます。
声かけの例
「答えは後で一緒に見よう。まず、どう考えたか教えて」
「一の位まではばっちり。違うのはここだけだね」
数日後
数字を変えた1問を、ほかの問題に混ぜて出す
- 3〜4問の中に、1問だけ混ぜる27+46のように数字を変えた繰り上がりの問題を、繰り上がりのない問題やひき算の間に入れます。できなければ、その日にまた途中を見比べます。
親が説明に迷うときは、教科書のその単元のページを子どもと一緒に開くと、学校と同じ言葉で確かめられます。分からないことは、担任の先生に相談するのも手がかりになります。
続けると、説明の手がかりと、混ぜる問題作りが課題になる
この見直しを続けると、親の側に二つの負担が出てきます。
限界1
答えしかない問題集では、説明を親が考えることになる
解答のページに答えしか載っていないと、なぜ違ったのかを親が自分で説明することになります。学校と違う教え方をしていないか、不安になることもあります。
限界2
混ぜる問題を、毎回親が作るのは手間がかかる
数字を変えた問題や、前に習った種類の問題を、毎回考えて作るのは大変です。仕事の後の短い時間では、続かない日も出てきます。
教材を選ぶ条件は、説明・教科書との一致・復習の三つ
二つの負担から、家庭学習の教材を選ぶ条件をまとめます。書店の問題集を選ぶときも同じ条件で見られます。右の列は、選ぶ前に自分で確かめる方法です。
| 条件 | 理由 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 答えだけでなく、考え方の説明が載っている | 違った理由に触れる説明の方が学習を助ける(Shute, 2008)。親が説明に迷ったときの手がかりにもなる。 | 見本や書店で、解答のページに途中の式や考え方、親向けの声かけが書かれているかを見る。 |
| 学校の教科書と同じ順番・やり方で学べる | 筆算の書き方や説明の言葉が学校と違うと、子どもが迷う。 | 学校の教科書の会社名を確かめ、その教科書に合わせた教材かを見る。 |
| 前に習った種類の問題が、あとで混ざって出てくる | 日を空けて種類を混ぜる練習が、後まで残る力につながる(Rohrer & Hartwig, 2020)。 | 見本や目次で、前の月や前の学期の内容を復習するページがあるか、どのくらいの頻度かを確かめる。 |
小学ポピーは、説明と教科書の条件に合い、復習は増刊号で補う
三つの条件に照らして、家庭学習の教材を一つ紹介します。
小学ポピーは、学校の教科書に合わせて作られた月刊の教材です。毎月のワークとテストに、解説の詳しい「答えとてびき」が付き、低学年向けには親の教え方やほめ方のアドバイスも載っています。対策1で「なぜ違ったか」を確かめるときの手がかりになります。
一方で、前に習った単元が毎月の教材に混ざって出てくるかは、公式の情報では確かめられませんでした。学期の復習用には増刊号のドリルがあります。数日後に混ぜて出す1問は、教材を使う場合も、手順のとおり親が続けるのがおすすめです。
| 確かめたい条件 | 小学ポピー |
|---|---|
| 答えだけでなく、考え方の説明が載っている | ○ 解説の詳しい「答えとてびき」が付く。1・2年生向けは、子どもに伝わる教え方やほめ方など、保護者向けのアドバイス付き △ 添削はない。低学年は保護者が答え合わせをする前提 |
| 学校の教科書と同じ順番・やり方で学べる | ○ ワークとテストは、子どもが学校で使う教科書に合わせて編集。学校の授業がポピーより進んだときは、授業に合う号の教材を届けるサービスがある |
| 前に習った種類の問題が、あとで混ざって出てくる | △ 毎月のワークは教科書に沿った当月の内容。学期の復習は増刊号『夏なつポピー』などのドリル(1・2年生は各教科1,650円・税込) |
○は条件に合う点、△は購入前の確認や別の対策が必要な点です。
向いているのは、学校の教科書に沿った問題で家庭学習を続けたい人で、低学年のうちは親が丸つけと見直しに付き合える人です。添削はないため、答え合わせは親が行います。
会費は2年生の毎月払いで月3,600円(税込)、入会金と年会費はかかりません。無料見本は申し込んでも入会にはならず、やめるときは中止したい月号の2か月前の25日までに電話で連絡します。学年ごとの条件は次のとおりです。
| 項目 | 小学ポピー |
|---|---|
| 会費(2年生の例) | 毎月払い 月3,600円、年間一括払い 月あたり3,300円(税込)。学年ごとに異なる |
| 入会金・年会費 | なし |
| 毎月の量(1・2年生) | ワーク約48ページと、1日1枚5分程度の「ひめくりドリル」30枚 |
| 無料見本 | 抜粋版のワークとテスト。送料を含めて無料。申し込みだけで入会になることはない |
| 継続・退会 | 退会の申し出がない限り継続し、毎年4月号で次の学年に進む。中止したい月号の2か月前の25日まで(休日は前営業日)に電話で連絡 |
無料見本で、「答えとてびき」の説明が自分の子に合う言葉か、1日の量が無理なく続けられるかを確かめてから決めてください。退会の期限は、始める前にカレンダーに書いておくと安心です。
教材を使わない場合も、今日の宿題の一問から、途中を見比べる見直しを試せます。

