いろいろ試しているのに、うまくいった理由も、失敗した理由も分からない。試行錯誤がうまくいかないとき、多くは試し方に原因があります。この記事では、子どもの「翼を曲げたから飛んだ!」を例に、試行錯誤を学びに変えるコツを、子どもの学びを調べた研究から紹介します。コツは、変えるものを一つにして、ほかをそろえて比べることです。
「翼を曲げたから、遠くまで飛んだんだよ!」
休日の午後、小学1年の子と紙飛行機を作っています。子どもが「翼を曲げたから遠くまで飛んだ!」とうれしそうに見せてきました。でも、さっきの飛行機とは紙が違い、遠くまで飛んだ方を投げたのは父でした。
発見を喜んでいる子どもに、「本当に翼のおかげ?」と言えば水を差しそうです。かといって、理由まで分かったようにほめるのも違う気がします。うれしさを大事にしながら、確かめ方も一緒に学べたらと迷います。
結果が違っても、いくつもの条件が同時に変わっていると、何が違いを生んだのかを切り分けられません。こうした条件がそろっていない比べ方は、大人でもよくやってしまいます。料理の味付けや仕事の進め方を一度にいくつも変えて、何が効いたのか分からなくなる。試行錯誤がうまくいかない「なんでだろう?」の多くは、ここから生まれます。
最近うまくいったことを一つ思い出してみてください。何を変えたからうまくいったのか、一言で言えるでしょうか。
理由は二つ:比べ方は自然には身につかず、説明だけでも伝わりにくい
子どもの比べ方について、研究から二つのことが分かっています。
理由1
そろえて比べる考え方は、自然には身につきにくい
調べたい条件だけを変え、ほかをそろえて比べる考え方は、科学の基本です。小学校の理科では「条件制御」として習います。72の指導研究をまとめた分析では、この考え方は練習や指導がないと自然には身につきにくい一方で、教えれば伸びることが示されています。特に、予想と違う結果に出会って考えが揺さぶられることと、大人が実際にやって見せることが、学びと結びついていました(Schwichow et al., 2016)。
子どもが「翼のおかげ」と言うのは、ごく自然なことです。試行錯誤そのものは大切な一歩で、そこにそろえて比べるコツを足すと、何が効いたのかを確かめられるようになります。
研究の範囲
学校での指導研究を中心にまとめた結果です。家庭でも、予想を言ってから試し、結果が予想と違ったときに一緒に考えると、同じ流れを作れます。
理由2
そろっていない比べ方を、一緒に直すところから学べる
米国の小学3・4年生、約3,000人を対象にした一連の研究では、大人の説明と、子どもが自分で実験を組む体験を組み合わせたときに最もよく学べました(正答率は組み合わせ72%、説明だけ65%、体験だけ57%)。子どもに答えてもらいながら進める方が、説明を聞かせるだけより学びが大きく、条件がそろっていない実験の問題点を見つけて直すところから始める教え方は、数か月後や2年半後にも効果が残りました(Freer et al., 2011)。
教えるか、任せるか。親が迷いやすいこの二択に、研究は「両方を組み合わせる」と答えています。
子どもの「翼のおかげ」は、まさに直す題材になります。正しいやり方を最初から説明するより、子どもの比べ方を一緒に見直す方が学びにつながります。
研究の範囲
学会で発表された研究の要約で、授業や個別指導で確かめられた結果です。家庭でも、子どもに答えてもらいながら一緒に試す形にすると、研究の流れに近づけられます。
対策は二つ:予想してからそろえて比べ、比べ方を一緒に直す
二つの研究に対応して、対策も二つあります。
対策1
予想を言ってから、そろえて比べる
理由1への対策です。調べたい一つを選び、ほかはそろえます。試す前に「どっちが遠くまで飛ぶと思う?」と予想を言ってもらうと、結果が予想と違ったときに、考えるきっかけになります。
対策2
子どもの比べ方を否定せず、違っていた条件を一緒に見つける
理由2への対策です。「違うよ」と言う代わりに、「さっきと何が違った?」と一緒に挙げていきます。紙、投げた人、翼の三つが違うと分かれば、子ども自身が「どれのおかげか分からない」と気づけます。

今日の紙飛行機で、違いを見つけ、そろえて3回ずつ試す
コピー用紙と、広い部屋や公園があれば試せます。人や物に当たらない場所を選んでください。
見つける
さっきと今で、違っていた条件を全部挙げる
- 「すごいね。さっきと何が違った?」と聞く子どもが挙げた違いを、紙に書き出します。紙の種類、投げた人、翼、投げた場所など、親も気づいた違いを足します。
そろえて試す
変える一つを選び、ほかをそろえて交互に試す
試す前に、何も変えない飛行機を3回投げてみてください。同じ飛行機でも、飛ぶ距離は毎回少しずつ違います。1回の差で決めない理由が、子どもにも見えてきます。
- 調べたい一つを、子どもに選んでもらう「翼のおかげか確かめたい」なら、同じ紙で同じ形の飛行機を二つ作り、片方だけ翼の端を曲げます。投げる人と場所も同じにします。
- 予想を言ってもらう「どっちが遠くまで飛ぶと思う?」と聞き、メモに書きます。外れても大丈夫だと伝えます。
- 測るものを決めて、交互に3回ずつ試す投げた線から、最初に床に着いた所までを歩数で測ります。A、B、A、Bと交互に投げ、全部の結果を書きます。

話す
結果を子どもに説明してもらい、次の一つを決める
- 「何が分かった?」と聞いて、子どもの言葉で説明してもらう予想どおりでも、外れても、結果から言えることを話してもらいます。差がはっきりしないときは「まだ分からない」も立派な結論です。
- 「次は何を一つ変える?」と決める曲げる角度、紙の大きさなど、次に試したい一つを子どもに選んでもらいます。
声かけの例
「すごいね。さっきと何が違ったか、一緒に探してみよう」
「翼のおかげか確かめるには、ほかを同じにしないとね。どれを同じにする?」
続けると、題材探しと、親の説明の負担が残る
この遊びを続けると、親の側に二つの負担が出てきます。
限界1
次に何を比べるか、題材を毎回考えるのが大変
紙飛行機の次は、坂道で転がす車、水に浮く物……と考えても、身近な遊びだけでは題材が尽きやすく、準備の時間も取れない日が出てきます。
限界2
親が説明に詰まると、つい答えを言ってしまう
子どもの「なんで?」に答えられないと、親が正解を言って終わらせたくなります。科学の説明に自信がないと、見守る役に回るのも難しく感じます。
教材を選ぶ条件は、届く題材・考える仕掛け・年齢に合う難しさ
二つの負担から、家庭で使う教材を選ぶ条件をまとめます。図鑑や実験キットを選ぶときも同じ条件で見られます。右の列は、選ぶ前に自分で確かめる方法です。
| 条件 | 理由 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 手を動かして試せる題材が、定期的に届く | 説明と、自分で手を動かして試す体験を組み合わせると学びやすい(Freer et al., 2011)。 | 体験教材や公式の教材紹介で、組み立てたり試したりする教材があるか、どのくらいの頻度で届くかを見る。 |
| 子どもが自分で試して考える仕掛けがあり、親は見守る役に回れる | 子どもに答えてもらう関わり方の方が学びやすい(Freer et al., 2011)。親が全部説明しなくても続けられることが大切。 | 体験版を子どもと一緒に10分ほどやり、親が答えを教えなくても試行錯誤が続くかを見る。 |
| 子どもの年齢に合った難しさの題材がある | 難しすぎると試す前に止まり、易しすぎると予想と違う結果に出会う機会がない(Schwichow et al., 2016)。 | 対象年齢とコースの区切りを確かめ、体験版で子どもが自分の力で一つでも試せるかを見る。 |
ワンダーボックスは、試す題材が毎月届き、親は見守る役に回れる
三つの条件に照らして、4〜10歳向けの通信教材を一つ紹介します。
ワンダーボックスは、アプリの教材と、毎月届くトイ教材・ワークブックを組み合わせた教材です。電池とモーターを組み立てて試す教材など、手を動かして試す題材が毎月届き、決められた課題はなく、子どもが自分のペースで試行錯誤できます。「そろえて比べる」手順は教材に書かれているものではありませんが、届いた題材で「何を変えたら、どう変わった?」と聞くと、同じコツを続けられます。
| 確かめたい条件 | ワンダーボックス |
|---|---|
| 手を動かして試せる題材が、定期的に届く | ○ トイ教材2種類と思考力ワークブックが毎月届く。例:電池でモーターが回る仕組みを組み立てて試す「メカニクスラボ」。アプリでは物理実験やプログラミングなどの教材を毎月更新 △ アプリはスマホ・タブレット用でパソコンには対応しない。タブレット本体は含まれない |
| 子どもが自分で試して考える仕掛けがあり、親は見守る役に回れる | ○ 決められた課題やルールはなく、毎日やる必要もない。公式は、試行錯誤して考えていること自体を認める声かけを勧めている ○ マイページで、子どもの取り組みの記録や作品を見られる △ 「そろえて比べる」考え方を親子で扱う専用の手引きは、公式ページでは見当たらない。取り組み方のヒントは会員向けサイトで提供 |
| 子どもの年齢に合った難しさの題材がある | ○ コースは4〜6歳、5〜7歳、小学1〜3年生向けに分かれている △ 3歳の多くの子には、内容や難易度が適切ではないと案内されている |
○は条件に合う点、△は購入前の確認や別の対策が必要な点です。
利用した人の声を、出典ごとにまとめます。感想は人によって異なり、効果を示すものではありません。良い声と、要望や気になる声を分けています。
App Store「ワンダーボックス |WonderBox」
良い声
- 5歳の子が夢中になって取り組み、紙の教材やブロックも毎月届く(2025-03-05)
- アプリやパズルノートなど、楽しく取り組める教材が多い(2024-07-24)
- 親が気づかない、年齢に合った教具が届く(2021-12-27)
要望・気になる声
- ログインしないと使えず、会員でないと試せる内容が限られる(2026-04-10)
- 月額約4,000円は高いと感じた(入会後は満足という感想)(2025-03-05)
- 4歳には難しい問題があり、親も解けなかった(2021-12-26)
- アップデート後に起動しない、音が出ないなどの不具合(2021-10-07)
アプリストアの口コミには、子ども本人が書いたとみられる短い投稿も多く含まれます。不具合の声は2020〜2021年の投稿が中心で、今の状態とは違う可能性があります。公式サイトのアンケートは、1年以上続けている家庭を対象にしたものです。
向いているのは、4〜10歳の子がいて、アプリと実物の教材を組み合わせて、試しながら考える遊びを続けたい家庭です。アプリはスマホ・タブレット用のため、使う端末も確認してください。
費用は、12か月一括払いなら月3,700円(税込)で、入会金と送料はかかりません。最短2か月から続ける形で、やめるときは希望月の10日までにマイページで手続きします。そのほかの条件もまとめておきます。
| 項目 | ワンダーボックス |
|---|---|
| 料金 | 12か月一括払い 月3,700円、6か月一括払い 月4,000円、毎月払い 月4,200円(税込) |
| 入会金・送料 | なし |
| きょうだい | 1人追加につき月1,850円(税込) |
| 支払い | クレジットカードのみ |
| 取り組む時間の目安 | アプリは月3〜4時間程度、キットは月1〜2時間程度 |
| 無料の資料・体験 | パンフレットと年齢に合わせた体験版ワークブックを郵送(1週間前後)。体験版アプリのパスコードをメールで受け取る。会員と海外在住者は対象外 |
| 最短期間・継続 | 最短2か月。解約しない限り自動で継続する |
| 解約 | マイページで手続き。解約したい月の10日までに手続きすると、その月の末日で終了 |
| 一括払いの途中解約 | 定価の月額で利用した月数分を計算し直し、差額をクレジットカードに返金 |
| 対応端末 | iOS 14.0以上、Android 7.0以上、Fire OS 6以上(2027年2月から引き上げ予定) |
まず無料の資料と体験版で、子どもが自分で試し続けられるか、親が見守れる時間で取り組めるかを確かめてから決めてください。解約の締め切りは、始める前にカレンダーに書いておくと安心です。
教材を使わない場合も、今日の紙飛行機から「さっきと何が違った?」と聞いてみてください。そろえて比べるコツは、大人の料理や仕事の試行錯誤にもそのまま使えます。
参考にした研究・資料
- Schwichow, M., Croker, S., Zimmerman, C., Höffler, T., & Härtig, H. (2016). Teaching the control-of-variables strategy: A meta-analysis. Developmental Review, 39, 37–63.
- Freer, B. D., Lorch, E. P., Lorch, R. F., Jr., & Calderhead, W. (2011). Deconstructing the instruction of the control of variables strategy: Key components of science instruction. Society for Research on Educational Effectiveness (SREE) Fall 2011 Conference Abstract.

