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読み聞かせで「ちゃんと聞いて」と言ってしまう|子どもが話し手になる読み方

読み聞かせは、子どもが話し手に。絵本の車を指さして話す子どもと、耳を傾ける父親を描いた絵本風イラスト 子育て・暮らし

寝る前の絵本で子どもが話し始めると、つい「ちゃんと聞いて」と止めてしまう。この記事では、こうした読み切ることを優先する読み聞かせで見落としやすいことを、読み聞かせの研究から説明します。そのうえで、子どもが話し手になる読み方と、同じ本を繰り返して読む方法を紹介します。

「ちゃんと聞いて」と言ったら、子どもが黙った

寝かしつけは父親の担当です。3歳の子と布団に入り、乗り物の絵本を読んでいると、子どもが「この車、昨日見た!」と話し始めました。早く読み終えて寝かせたくて、「今はちゃんと聞いて」と返すと、子どもは黙ってしまいます。

一緒に楽しみたくて開いた絵本が、注意する時間になってしまった。寝る時間は守りたいし、妻と分担した寝かしつけを予定どおり終えたい。でも、子どもの話をさえぎったことが引っかかります。

静かに物語を楽しむ読み方が悪いわけではありません。ただ、子どもの言葉を毎回「中断」と受け止めていると、子どもが話す機会がなくなります。

子どもから見ると、「この車、昨日見た!」は、絵本の中と自分の毎日がつながった発見です。

見落としやすいのは二つ:子どもが話す機会と、同じ本の繰り返し

読み聞かせの研究から、見落としやすいことが二つ分かっています。

理由1

子どもが話し手になる読み方は、言葉の力を伸ばす

大人が読み、子どもが聞く読み方とは逆に、子どもを語り手に、大人を聞き手にする読み方があります。対話的な読み聞かせ(Dialogic Reading)と呼ばれ、大人は絵について問いかけ、返事を受け止め、言葉を少し足し、もう一度言ってもらう、という順で進めます。46の研究をまとめたレビューでは、5歳未満の子で、語彙を含む言葉の力に良い効果が報告され、読む楽しさや親の自信が高まったという研究もありました(Pillinger & Vardy, 2022)。

「この車、昨日見た!」は、まさに子どもが話し手になろうとした瞬間です。止めずに受け止めれば、そのまま練習の機会になります。

研究の範囲

46の研究で良い効果が報告されている一方、効果の大きさには研究ごとに幅があり、著者は控えめな効果と見ています。大きな変化を急がず、親子の会話が増える読み方として続けるのがおすすめです。

理由2

同じ本を繰り返す方が、新しい言葉を覚えやすい

3歳児に1週間で3回絵本を読んだ実験では、同じ物語を3回聞いた子の方が、別々の物語で同じ言葉を同じ回数聞いた子より、前の回に出てきた言葉をずっとよく覚えていました。別々の物語を聞いた子は、ほとんど覚えていませんでした(Horst et al., 2011)。

「また同じ本?」は、子どもが言葉を自分のものにしている途中の合図とも受け取れます。

なじんだ物語なら、子どもは筋を追う負担が減り、新しい言葉や絵に注意を向けやすくなると説明されています。毎晩新しい本を最後まで読むより、同じ本で話す方が、子どもが話しやすくなります。

研究の範囲

英国の3歳児16人が、実験用の言葉で確かめた結果です。家庭では、子どもが絵本の言葉を自分から使い始めるかで、変化を感じ取れます。

対策は二つ:子どもを話し手にし、同じ本を何度か読む

二つの研究に対応して、対策も二つあります。

対策1

子どもを話し手にし、大人は聞き手になる

理由1への対策です。大人が全部読んで説明するのではなく、絵について子どもに話してもらい、大人は受け止めて一言足します。毎ページで質問する必要はありません。

上は、大人が最後まで続けて読み、子どもは聞いているだけの読み聞かせ。下は、子どもが「くるま!」と言い、大人が「赤い、大きな車だね」と返す読み方。問いかける、返事を受け止める、一言だけ足す、もう一度言ってもらう、の4つの手順が並ぶ。
子どもの一言を、大人が受け止めて少し広げる。4つの手順は、研究で使われている進め方を簡単にしたもの。

対策2

同じ本を何度か読み、なじんだ所から話してもらう

理由2への対策です。子どもが気に入った本を数日続けて読み、回を重ねるごとに、子どもが話す部分を増やします。「また同じ本?」と感じても、子どもには話す練習の機会になっています。

今夜の一冊から、1〜2場面だけ問いかけて待つ

家にある絵本で今夜から試せます。最初から全部のページでやる必要はありません。

1回目

初めて読む本では、1〜2場面だけ問いかける

  1. 子どもが指さした絵で、一つだけ問いかける子どもが話し始めた場面や、指さした絵で止まります。「これ、なあに?」「どこに行くのかな?」のように、その子が答えられる問いを一つにします。
  2. 返事を待ち、受け止めて一言足す数秒待ちます。「くるま」と言ったら「そうだね、赤い大きな車だね」と、見えている物に合わせて少しだけ言葉を足します。言い間違いは直さず、正しい言い方で返します。
  3. もう一度言ってもらって、物語に戻る「赤い車、言ってみて」と言ってもらえたら、続きを読みます。話したくなさそうなら、すぐ読む方に戻ります。

会話の例

子ども「この車、昨日見た!」
父「どこで見たんだっけ?」
子ども「公園の前」
父「そうだったね。公園の前の車も、荷物を運んでたね」

2回目から

同じ本を続け、子どもが話す所を増やす

同じ絵本を3回読む流れ。1回目は大人が多く話し、1〜2場面だけ問いかける。2回目は知っている所を子どもに言ってもらう。3回目は「次はどうなる?」と子どもに先を話してもらい、子どもが話す量が大人より多くなる。
回を重ねるごとに、子どもが話す部分を増やしていく。
  1. 知っている所を、子どもに言ってもらう2回目は、子どもが覚えている言葉の前で少し止まり、「ここは何て言うんだっけ?」と続きを任せます。
  2. 「次はどうなる?」と、先を話してもらう3回目以降は、ページをめくる前に先の展開を聞きます。合っているかどうかより、子どもが話したことを受け止めます。

眠い夜

時間がない夜は、読むだけで終えてよい

  1. その日は読むだけにして、話は別の時間に回す眠そうな夜や、寝る時間を過ぎた夜は、最後まで読んで終えます。「さっきの車の話、明日の朝聞かせてね」と伝えれば、話をさえぎったことになりません。週末の昼など、余裕のある時間に同じ本を開きます。

寝かしつけを交代したときは、「今日は車の絵で話が広がったよ」と妻・パートナーに一言伝えると、相手も同じ本で続けやすくなります。

今夜は、子どもが指さした場面で、ページをめくる手を5秒だけ止めてみてください。

続けると、本の合う・合わないと、手元に置く本の選び方が残る

この読み方を何週間か続けると、本の選び方で困ることが二つ出てきます。

限界1

年齢や関心に合わない本では、問いかけられない

家にある絵本が、今の子どもに合っているとは限りません。文章が長すぎる本や、絵の情報が少ない本では、問いかけられる場面が見つからず、やりとりが続きません。

限界2

繰り返す本は手元に置きたいが、選んで外れることもある

子どもが「もう一回」と言う本は、何度も読めるように手元に置きたくなります。ただ、表紙だけで選んで買うと、中を開いたら子どもの関心と違うこともあります。図書館の本には返却期限があります。

次の本を選ぶ条件は、年齢と関心・中身の確認・手元に置けること

二つの限界から、次の本を選ぶ条件をまとめます。図書館や書店で選ぶときも同じ条件で見られます。右の列は、選ぶ前に自分で確かめる方法です。

条件理由自分で確かめる方法
年齢と、子どもの関心から候補を絞れる問いかけには、子どもが指さしたくなる絵と、今の年齢で聞ける文章の長さが必要。対話的な読み方の効果も、5歳未満で多く報告されている(Pillinger & Vardy, 2022)。子どもが最近よく口にする物(乗り物、動物、食べ物など)を三つ書き出し、その言葉と年齢で候補を探す。
買う前に、全ページの絵と文章を確かめられる問いかけられる場面があるか、1ページの文章が長すぎないかは、中身を見ないと分からない。候補の中身を見て、子どもに問いかけたくなる絵が三つ以上あるか、1ページの文章を一息で読めるかを確かめる。
手元に置いて、何度でも読める同じ本を繰り返すことが、言葉の定着を助ける(Horst et al., 2011)。子どもが「もう一回」と言ったときに読める必要がある。図書館で借りた本のうち、子どもが2回以上「もう一回」と言った本を書き出し、手元に置く本の候補にする。

絵本ナビなら、年齢で探し、全ページを見てから買える

書店に一緒に行く時間がないときの方法として、絵本の情報サイト「絵本ナビ」を紹介します。

絵本ナビでは、年齢やテーマから絵本を探せます。対象の作品は、専用アプリの「全ページためしよみ」で、買う前に1回だけ全ページを読めます。問いかけたくなる絵があるか、文章の長さが今の子に合うかを確かめてから、ショップで購入して手元に置けます。

確かめたい条件絵本ナビ
年齢と、子どもの関心から候補を絞れる○ 年齢別(0〜12歳と大人)やテーマ別に絵本を探せる
買う前に、全ページの絵と文章を確かめられる○ 全ページためしよみ:対象2,500冊以上を、各作品1回ずつ全ページ読める。無料メンバーは月3冊まで
△ 全ページためしよみは各作品1回だけで、スマホ・タブレットの専用アプリ(無料)が必要。パソコンでは使えない
△ 全ページ読めるのは対象の作品だけ。月4冊以上読むには有料のプレミアム会員が必要
手元に置いて、何度でも読める○ サイト内のショップで絵本を購入できる

○は条件に合う点、△は購入前の確認や別の対策が必要な点です。

向いているのは、近くに大きな書店がなく、子どもの関心に合う本を、中身を見てから手元に置きたい人です。図書館で借りて子どもが気に入った本を、買う候補として確かめる使い方もできます。

全ページためしよみは無料のメンバー登録で使え、本を買うときは4,999円(税込)以上で送料が無料になります。支払いや返品の条件は次のとおりです。

項目絵本ナビ
メンバー登録全ページためしよみには、絵本ナビのメンバー登録(無料)が必要
送料注文が4,999円(税込)以上で送料無料。未満は599円(税込)
支払いクレジットカード(一括のみ)、atone、d払い、Amazon Pay。デビットカードは使えない
破損・不具合お届けから7日以内に連絡。8日以上たった物や使用した物は返品・交換できない

ためしよみは各作品1回だけなので、子どもと一緒に開く前に、まず大人が一人で中身を確かめておくと無駄になりません。

本を買わない場合も、家にある一冊から、今夜1〜2場面だけ問いかけてみてください。

参考にした研究・資料

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