できるだけ効率よく家事をこなしているつもりなのに、毎日時間に追われてつらい。この記事では、こうした毎日追われる家事から抜け出せない理由を、時間とお金、夫婦の家事を調べた研究から読み解きます。そのうえで、家事を「自分たちでやる/減らす/頼む」に分け、浮いた時間を夫婦と家族の時間に使う方法を紹介します。
平日も週末も、家事に追われ続ける
共働きで、2歳の子を育てています。作り置きも洗濯の段取りも工夫して、できるだけ効率よく家事をこなしているつもりです。それでも平日は保育園の送り迎えと夕食、洗濯で夜まで終わらず、週末にまとめてやろうとした掃除や作り置きも、こなしきれません。家のどこかがいつも散らかっていて、家事の段取りをめぐって、妻とぴりぴりすることも増えました。
これ以上削れるところはないくらい工夫しているのに、毎日時間に追われていて、つらい。「子どもがもう少し大きくなれば落ち着くはず」と自分に言い聞かせながら、家族とゆっくり過ごしたい時間が、毎日家事で消えていきます。毎日追われる家事は、がんばりが足りないからではなく、こうして続いていきます。
研究からは、見えない段取りの片寄り、忙しさの見積もり違い、時間を買うことの価値の三つで、この状態が説明できます。
この1週間で、家族とゆっくり過ごせた時間は何時間あったでしょうか。家事をしていた時間と比べてみてください。
理由は三つ:段取りの片寄り、忙しさの見積もり、時間の価値
三つの理由を、研究の結果から一つずつ見ていきます。
理由1
家事の量が二人の時間を超え、見えない段取りが一人に残る
夫婦35組への面接調査では、家事には「必要に気づく、候補を探す、決める、進み具合を見守る」という頭の中の作業があり、負担が大きいのに目に見えにくいため、夫婦の衝突のもとになりやすいことが示されました。気づく作業と見守る作業は、妻に片寄りがちでした(Daminger, 2019)。

共働きで子どもが小さい時期は、家事の量そのものが二人の時間を超えがちです。見える作業を分けても、量が多いままでは、段取りに追われる人が休めません。
理由2
「そのうち落ち着く」と考え、時間を買う価値を小さく見積もる
時間を節約する買い物は幸福感を高めるのに、多くの人はそうしたお金の使い方をしません。研究者は、多くの人が「将来は今より忙しくない」と考えるため、その価値を小さく見積もるのではないかと考えました。家事などのサービスの利用者78,726人にメールを送った実験では、「将来も今と同じくらい忙しい」と思い出させると、メールを開いて申し込みのリンクを押す人が増えました(Whillans, Dunn & Norton, 2018)。
「そのうち落ち着く」と思ったのは、今月が初めてでしょうか。
理由3
時間を買うと、夫婦の満足度が高まる
4か国の6,271人を調べた研究では、時間を節約するサービスにお金を使う人ほど、生活の満足度が高くなっていました。働く大人を対象にした実験でも、物を買うより、時間を節約する買い物にお金を使った方が、幸福感が高まりました(Whillans et al., 2017)。
掃除のサービスや食事の宅配など、時間を節約する買い物と夫婦関係を調べた7つの研究もあります。時間を節約する買い物が増えると関係の満足度が高まり、その結びつきは、ストレスの高い共働きの夫婦で強く見られました。効果が大きかったのは、浮いた時間を二人で過ごす時間に使ったときでした(Whillans, Pow & Gladstone, 2025)。

研究の範囲
米国などの調査と記録にもとづく研究で、日本の家庭は対象に含まれていません。家事を頼むかどうかより、浮いた時間を二人でどう過ごすかを決めておくことが大切だ、という結果は、どの家庭でも生かせます。
原則は3つ:家事を仕分ける、忙しさを見積もる、浮いた時間の使い道を決める
三つの理由に対応して、原則も三つあります。
原則1
家事を「自分たちでやる/減らす/頼む」に分ける
理由1に対応する原則です。家事を全部自分たちで抱えるか、全部任せるかの二択ではなく、一つずつ三つに仕分けます。内閣府の話し合いシートでも、負担の重い家事は、第三者の助けや有料サービス、やめることも選択肢にするよう勧めています(内閣府男女共同参画局「○○家作戦会議」)。
原則2
「そのうち落ち着く」ではなく、今の忙しさが続くと考える
理由2に対応する原則です。子どもが小さい時期の忙しさは、数年続きます。先の自分に期待するのではなく、今の忙しさが続くものとして、家事の量と頼み方を考えます。
原則3
家事を頼むなら、浮いた時間の使い道を先に決める
理由3に対応する原則です。浮いた時間を、仕事やほかの家事で埋めてしまっては、忙しさは変わりません。「平日の夜は子どもと遊ぶ」「子どもが寝たら二人でお茶」のように、使い道を先に決めて予定に入れます。
家事を書き出し、「自分たちでやる/減らす/頼む」に分ける
かしこまって時間を取らなくても大丈夫です。思いついたときに、LINEで「家事を一度書き出してみない?」と送るところから始められます。大切なのは、二人で同じ表を見て話すことです。内閣府の「○○家作戦会議」のシートを使ってもかまいません(内閣府男女共同参画局「○○家作戦会議」)。

仕分ける
家事を書き出し、減らす家事を決める
- 1週間の家事を書き出し、かかる時間を見積もる料理、作り置き、洗濯、掃除、保育園の準備など。それぞれ週に何時間かかっているかを、ざっくり書きます。共有のメモやスプレッドシートに書くと、二人で少しずつ足せます。
- 回数を減らす・やめる家事を決める例:掃除機は毎日から週3回に。アイロンが要らない服を選んで、アイロンがけをやめる。
頼む
「頼む」家事を決め、浮いた時間を予定に入れる
- 残った家事から、時間がかかる・気が重いものを「頼む」に仕分ける例:水回りの掃除、平日の夕食の作り置き、年に一度のエアコン掃除。出産を控えているなら、赤ちゃんを迎える前の部屋の片付け。
- 浮く時間に何をするかを決め、予定に入れる「平日の夜は子どもと遊ぶ」のように、具体的に決めて、家族の予定表に書きます。
書き出した家事のうち「頼む」にした分の時間を合計して、1時間あたり3,000円で頼んだらいくらになるか計算してみてください。その金額と、取り戻せる家族の時間を比べると、見え方が変わるかもしれません。
「頼む」に仕分けるときの3つの注意点
「頼む」に仕分けた家事を実際に頼むときは、次の三つに気をつけます。
注意点1
種類と頻度:家事によって、合う頼み方が違う
毎週の掃除、平日の作り置き、年に一度のエアコン掃除、出産前の片付け。頼みたい家事は種類も頻度もまちまちです。毎週頼むのか、1回だけなのかで、合うサービスや料金も変わります。
注意点2
不安:知らない人を家に入れる
初めて家事を頼むときは、どんな会社が運営しているのか、何かあったときに補償があるのか、立ち会う必要があるのかが気になります。
注意点3
サービス地域:地域によって頼めるものが違う
家事代行は、サービスごとに提供地域が違うことがあります。同じ会社でも、掃除は頼めるのに料理や片付けは頼めない、という地域もあります。
家事代行を選ぶ5つの条件
三つの注意点から、家事代行を選ぶ条件を五つにまとめます。自治体の産前産後の家事支援や、食事の宅配を選ぶときも同じ条件で見られます。
| 条件 | 理由 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 種類頼みたい家事を選べる | 浮いた時間をどう使うかで効果が変わる(Whillans, Pow & Gladstone, 2025)。重い家事から選んで頼める方がよい。 | 掃除・料理・専門の清掃・片付けのどれか |
| 頻度1回だけでも、定期でも頼める | 時間を買う価値は小さく見積もりがち(Whillans, Dunn & Norton, 2018)。まず1回試すと判断しやすい。 | スポット(1回)と定期の有無、最低利用回数 |
| 費用1時間あたりの料金が分かる | 頼む家事と回数から、月の予算を夫婦で決められる。 | 1時間の料金、交通費、キャンセルの期限 |
| 安心家に入ってもらう不安を減らせる | 運営会社の信頼性と、何かあったときの補償で、頼みやすさが変わる。 | 運営会社、損害の補償、在宅の要否、担当者の指名 |
| 地域住んでいる地域で使える | サービスごとに提供地域が違うことがある。 | 頼みたいサービスごとの提供エリア |
上場企業の家事代行サービス「CaSy」
条件に照らして、家事代行のサービスを一つ紹介します。
CaSy(カジー)は、東京証券取引所グロース市場に上場している株式会社CaSyが運営する家事代行サービスです。掃除、料理(作り置き)、エアコンや浴室のハウスクリーニング、整理収納を頼めます。最低利用回数はなく、1回だけでも、定期でも使えます。
条件ごとに比べると、次のとおりです。
| 確かめたい条件 | CaSy(家事代行・ハウスクリーニング・整理収納) |
|---|---|
| 種類頼みたい家事を選べる | ○ 掃除・料理(作り置き)・ハウスクリーニング・整理収納 |
| 頻度1回だけでも、定期でも頼める | ○ 1回だけのスポットも、週1回〜4週に1回の定期も可。最低利用回数なし △ 担当者が応募して予約が決まる。スポットは直前まで決まらないことがある |
| 費用1時間あたりの料金が分かる | ○ 掃除・料理は1時間2,790円〜(税込・定期)+交通費880円 ○ 前々日18時までのキャンセルは無料 △ 2026年12月1日から値上げ(定期2,950円〜)。料理の食材費は別 |
| 安心家に入ってもらう不安を減らせる | ○ 東証グロース市場の上場企業(証券コード9215) ○ 損害保険に加入。作業中は外出してよい △ 仕上がりは担当者で差があるという声が多い。指名は2回目から |
| 地域住んでいる地域で使える | ○ ハウスクリーニングは全国(離島などを除く) △ 掃除・料理は14都府県の一部、整理収納は東京・神奈川のみ |
○は条件に合う点、△は購入前の確認や別の対策が必要な点です。
利用した人の声を、出典ごとにまとめます。感想は人によって異なり、効果を示すものではありません。良い声と、要望や気になる声を分けています。
App Store「CaSy(カジー)- 家事代行予約アプリ」
良い声
- 初めて家事代行を頼んだが便利。苦手な家事は得意な人に任せるのがよいと思った(2024-12-05)
- 自治体の子育て支援の補助を使って利用している(2025-08-27)
要望・気になる声
- 仕上がりは来てくれる担当者によって大きく違う(2025-11-12)
- 担当者を何度変えても合う人に出会えず、頼んだことをしてもらえないことがあった(2026-03-30)
- 直前に会社側の都合でキャンセルの連絡があり、問い合わせへの返事も遅かった(2025-08-15)
- 何度予約しても担当者が決まらなかった(2024-08-08)
アプリのレビュー欄ですが、サービス全体への感想が多く含まれます。評価の件数は75件と多くありません。担当者による仕上がりの差や、予約が決まらないことへの声が目立ちます。
向いているのは、都市部に住み、共働きで子育てをしている家庭や、出産を控えた夫婦です。担当者によって仕上がりが違うという声が多いので、最初は1回、場所と時間を絞って頼み、合う担当者が見つかったら2回目から指名すると安心です。掃除・料理と整理収納は提供地域が限られるので、先に住んでいる地域を確かめてください。
費用は、掃除・料理の定期で1時間2,790円から、1回だけなら3,490円(税込、2026年11月30日まで)に、交通費880円がかかります。12月1日から料金が上がります。前々日18時までならキャンセルは無料です。そのほかの条件は次のとおりです。
| 項目 | CaSy(家事代行・ハウスクリーニング・整理収納) |
|---|---|
| 掃除・料理(〜11/30) | 定期 1時間2,790円〜/スポット 3,490円+交通費880円 |
| 掃除・料理(12/1〜) | 定期 1時間2,950円〜/スポット 3,650円+交通費880円 |
| ハウスクリーニング | エアコン13,200円〜、浴室19,250円〜 |
| 整理収納 | 2時間26,400円〜(2名で訪問) |
| 1回の時間 | 掃除1〜4時間、料理3時間以上 |
| キャンセル | 前々日18時までは無料 |
| 支払い | クレジット・デビットカードのみ |
初めて頼むなら、「頼む」に仕分けた家事を一つだけ選び、その日に浮く時間の使い道まで決めてから予約すると、時間を買った価値を実感しやすくなります。
家事代行を使わない場合も、家事を書き出して「減らす」家事を一つ決め、浮いた時間を家族の予定に入れることから始められます。
参考にした研究・資料
- Daminger, A. (2019). The cognitive dimension of household labor. American Sociological Review, 84(4), 609–633.
- Whillans, A. V., Dunn, E. W., & Norton, M. I. (2018). Overcoming barriers to time-saving: Reminders of future busyness encourage consumers to buy time. Social Influence, 13(2), 117–124.
- Whillans, A. V., Dunn, E. W., Smeets, P., Bekkers, R., & Norton, M. I. (2017). Buying time promotes happiness. Proceedings of the National Academy of Sciences, 114(32), 8523–8527.
- Whillans, A. V., Pow, J. L., & Gladstone, J. J. (2025). Buying (quality) time predicts relationship satisfaction. Journal of Personality and Social Psychology, 128(4), 821–863.
- 内閣府男女共同参画局「夫婦が本音で話せる魔法のシート『○○家作戦会議』」

