週末に時間を作って勉強したのに、次の週末には同じ問題で止まってしまう。この記事では、この週末にまとめて読み返す勉強で忘れやすくなる理由を、記憶と学習の研究から説明します。そのうえで、勉強時間を増やさずに、読み返しを「思い出す練習」に変え、平日に5分だけ戻る方法を紹介します。
日曜に2時間勉強したのに、次の日曜には同じ問題で止まる
資格の勉強を、日曜の夜にまとめてしています。妻に子どもの風呂と寝かしつけを代わってもらって作った2時間で、教材を読み、分からなかった所を何度も読み返します。読み終えるころには「分かった」と感じます。ところが次の日曜に問題集を開くと、先週読んだはずの用語が出てきません。
「先週、何をやっていたんだろう」とがっかりします。家族に時間を空けてもらっているのに、また最初から読み直すことになり、申し訳なさもあります。かといって、平日に毎晩長い時間を取るのは、仕事と家のことを考えると難しい。
勉強時間が足りないというより、同じ夜のうちに読み返して終わり、日を置いて思い出す機会がないことが問題です。
原因は二つ:同じ日に詰めることと、読み返しで終わること
週末の勉強で忘れやすくなる原因は、研究から大きく二つ考えられます。
理由1
同じ内容を、同じ夜のうちに繰り返している
記憶の研究では、同じ時間を使うなら、一度にまとめて繰り返すより、時間を空けて繰り返した方が後まで覚えていることが、100年以上にわたって確かめられてきました。184本の論文の実験をまとめた分析では、まとめて繰り返す場合と間隔を空けた場合の271の比較のうち、間隔を空けた方が良くなかったのは12だけでした。覚えておきたい期間が長いほど、効果的な間隔も長くなる傾向もありました(Cepeda et al., 2006)。
日曜の2時間で同じページを何度も読み返すのは、この「まとめて繰り返す」形です。読んだ回数は多くても、その多くが同じ夜に集中していて、次に触れるまでの1週間、一度も思い出していません。
研究の範囲
単語や文章を覚える実験を中心に、主に若い成人で確かめられた結果です。最もよい間隔は覚えたい期間や内容で変わるため、思い出せた割合を見ながら、自分に合う間隔に調整していきます。
理由2
読み返すと「分かった」と感じるが、思い出す練習になっていない
別の実験では、大学生が短い文章を、4回とも読む方法と、1回読んでから3回思い出して書き出す方法で学びました。5分後のテストでは読んだ方が多く思い出せましたが、1週間後には逆転しました。しかも、読み返した学生の方が「1週間後も覚えている」と予想していました(Roediger & Karpicke, 2006)。

1週間後の61%と40%は、10個覚えたうち、6個残るか4個残るかの違いです。
学習法の研究を広く検討したレビューでも、間隔を空けた学習と、問題に答えて思い出す練習は効果が高い方法、読み返しは効果が低い方法と評価されています(Dunlosky et al., 2013)。読み返して分かったと感じることと、後で思い出せることは別なのです。
研究の範囲
大学生が短い文章で確かめた結果です。資格の勉強でも、1週間後に問いに答えられるかを試すと、自分にとっての効果を確かめられます。
対策は二つ:日を分けて戻り、読む代わりに思い出す
二つの理由に対応して、対策も二つあります。どちらも、勉強時間を増やす必要はありません。
対策1
同じ内容に、別の日にもう一度戻る
理由1への対策です。新しい単元を進める日とは別に、前に学んだ内容へ短く戻る日を作ります。長い時間より、日を分けることを優先します。
対策2
読み返す代わりに、教材を閉じて思い出す
理由2への対策です。最後にもう一度読むのではなく、教材を閉じて問いに答えます。答えられなかった所が、次に戻る場所になります。問いは一言で答えられる短いもので十分です。
問いの例
「この用語を、一言で説明すると?」
「似ている二つの違いを、一つ挙げると?」
「この問題で、最初に確かめる条件は?」
この記事を読み終えたら、先週勉強した内容から一つ、教材を見ずに説明してみてください。言葉に詰まった所が、水曜に戻る場所です。
まずは今の教材で、日曜の最後と水曜に思い出す
手持ちの教材とメモで試せます。一週間の流れは次のとおりです。

日曜
勉強の最後15分で、問いを作って答える
- その日学んだ所から問いを3つ作るノートやスマホのメモに、一言で答えられる問いを書きます。答えは書かずに、教材のページ番号だけ添えます。
- 教材を閉じて答え、答え合わせをする答えた後で教材を開いて確かめます。答えられなかった問いに印を付けます。
水曜
5分だけ、同じ3問に見ないで答える
- 同じ3問に、教材を見ずに答える通勤中や子どもが寝た後など、5分取れる時間で答えます。答えた後で、メモのページ番号から教材を確かめます。
次の日曜
先週の問いから始めて、新しい単元へ進む
- 最初の10分で、先週の問いに答える新しい単元に入る前に、印の付いた問いから答えます。
- できた問いは外し、できなかった問いを残す毎回すべてをやり直す必要はありません。思い出せない問いが多いときは、水曜の5分を週2回にするなど、戻る間隔を短くします。
水曜の5分は、家族の予定と相談して決めます。曜日と時間と、できない日の代わりを具体的に伝えると、相手も予定を立てやすくなります。妻・パートナーが自分の時間を取る日も、同じように相談します。
妻から見ると、「毎晩勉強したい」より「水曜に5分」の方が、家族の予定に組み込みやすい相談です。
相談の例
「水曜、子どもが寝たあとに5分だけ問題に答えたい。難しい日は木曜の朝にずらすね」
続けると、問い作り・管理・持ち歩きの手間が残る
この方法を数週間続けると、学ぶ範囲が広がるにつれて、限界が三つ見えてきます。
限界1
問いを作る時間が、勉強時間を削る
単元が増えるほど、毎週の問い作りに時間がかかります。自分で作った問いが、試験で問われる範囲を押さえているかも確かめにくくなります。
限界2
どの問いに、いつ戻るかの管理が増える
できなかった問いが週ごとに残ると、どれを次に解き、どれを外してよいかを、メモで管理する手間が増えます。問いごとに戻る日を変えたくても、手作業では続きません。
限界3
平日の5分に、教材やノートを開けない日がある
平日の5分は、電車の中や寝かしつけの後など、場所も時間もばらばらです。紙の問題集やノートが手元にない日は、思い出す練習が抜けてしまいます。
次の教材に必要な条件は、問題・出し直し・スマホの三つ
三つの限界から、次の教材に必要な条件をまとめます。右の列は、申し込む前に自分で確かめる方法です。
| 条件 | 理由 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 受ける試験の範囲に沿った問題が、最初からそろっている | 問いを作る時間を、答える時間に回すため。思い出す練習は、問題の形式を問わず効果が示されている(Dunlosky et al., 2013)。 | 受ける試験の出題範囲に対応していると書かれているか、問題の数と、無料で解ける範囲を確かめる。 |
| 間違えた問題を記録し、日を空けて出し直してくれる | 日を分けて戻ることが対策の中心(Cepeda et al., 2006)。問題ごとの管理を任せられれば、戻る日を自分で数える手間が減る。 | 無料で試せる範囲で数問を解き、間違えた問題が後日もう一度出るか、出す数や間隔を自分で調整できるかを確かめる。 |
| スマホで1問ずつ解け、途中でやめても続けられる | 平日の5分は場所が決まらないため、手元のスマホで解けて、中断しても続きから再開できることが必要。 | 自分のスマホで無料登録し、1問解いて閉じ、続きから再開できるかを試す。 |
スタディングのITパスポート講座は、三つの条件に合う
三つの条件に照らして、オンライン講座を一つ紹介します。ここでは、ITの基礎を幅広く問う国家試験、ITパスポート試験の講座を例にします。
スタディングのITパスポート合格コースは、動画講義とWebテキストに加えて、単元ごとの問題集と過去問集を含みます。「AI問題復習」という機能では、問題ごとに理解度を記録し、正解するたびに次に出す間隔が長く、間違えると短くなります。日を分けて戻る対策1と、問題に答える対策2を、講座の中で続けやすくする機能です。
研究の範囲
間隔を少しずつ広げる出し方と、一定の間隔で戻る出し方の比べ方は、これから研究が進む段階です(Cepeda et al., 2006)。出し直しの機能を使いながら、苦手な単元に自分で戻る日も組み合わせると安心です。
| 確かめたい条件 | スタディング ITパスポート合格コース |
|---|---|
| 受ける試験の範囲に沿った問題が、最初からそろっている | ○ 単元ごとのスマート問題集79回・全484問、セレクト過去問集10回・全245問、まるごと過去問集5回・全500問。シラバス6.3に対応 |
| 間違えた問題を記録し、日を空けて出し直してくれる | ○ AI問題復習:問題ごとに理解度を記録し、正解すると次に出す間隔が長く、間違えると短くなる。1日の最大問題数や出題間隔も設定できる △ 1日の最大問題数を少なくしすぎると、その日に出る予定だった問題が翌日へ繰り越され、たまっていく |
| スマホで1問ずつ解け、途中でやめても続けられる | ○ 問題集はスマホで解け、途中で中断できる。アプリでは動画のダウンロードもできる △ オンライン講座のため、紙の教材は郵送されない |
○は条件に合う点、△は購入前の確認や別の対策が必要な点です。
向いているのは、ITの基礎を学び直したい人で、週末の勉強に加えて、平日の短い時間をスマホで使いたい人です。紙に書き込みながら解きたい人や、自分で問いを作る方が理解が進む人は、市販の問題集と今回の方法で続けることもできます。
費用は8,500円(税込)の一括払いで、受講期限は2027年1月31日までです。試験の受験料は別にかかり、購入後は原則として返金できません。細かな条件は次のとおりです。
| 項目 | スタディング ITパスポート合格コース |
|---|---|
| 価格 | 8,500円(税込)。分割例は月々777円×12回から(分割の手数料・回数はカード会社などとの契約による) |
| 受講期限 | 2027年1月31日まで |
| 含むもの | 動画講義79講座(約32時間)、Webテキスト、問題集、直前対策模試、学習Q&Aチケット5枚 |
| 無料登録 | メールアドレスとパスワード、またはGoogleアカウントで登録。登録だけで自動的に契約・更新されることはない |
| キャンセル・返金 | 商品の性質上、原則としてキャンセル・返金はできない(利用規約第8条) |
| 受験料 | 講座とは別に、試験の受験手数料7,500円(税込)がかかる |
返金できない分、先に無料登録で、自分のスマホで問題を解き、出し直しの設定を確かめてから決めてください。
講座を使わない場合も、次の日曜の最後15分と、水曜の5分から試せます。
参考にした研究・資料
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
- Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58.

