はじめに
子どもが小さい頃は、思いもよらない危険が周りに潜んでいます。
「これで良いだろう」という感覚は大人基準であって、子どもの危険は取り除けないかもしれません。
今回の記事では、小さな子どもと一緒に生活するなかで、広く知っておきたい家事の基本知識を紹介します。
事前に把握しておくことで、ふとした時に気づいて家族の快適な暮らしをもっと良くすることを目指します。
家事の分類
近年は共働きが当たり前になり、フルタイム勤務で家事に時間を避けません。
たまにしかやらない家事があったとき、それぞれの家事のやり方やポイントを忘れたときに見返す基本知識をまとめます。
家事には様々な種類の家事がありますが、今回は代表的な5つの種類に分けています。
- 掃除
- 洗濯
- 料理
- 収納・片付け
- 子どもの安全対策
掃除
掃除の目的
- 家の清潔さを保つ
- 家族の健康を維持する
- 家の状態(家具、床など)を長持ちさせる
洗剤の種類
洗剤を使って汚れを落とす場合は、「アルカリ性」「酸性」の対になるものを使用します。使う場所を間違えると、素材を変色させてしまったりするので気をつけてください。
塩素系漂白剤によく見られる「まぜるな危険」にも注意が必要です。
酸性の洗剤 | お風呂場やトイレなどで活躍する。 水あか、石鹸カス、カルキ、サビ、尿石などを落とす。 |
アルカリ性の洗剤 | 油汚れ、手垢、皮脂、食べこぼしなど一般的な汚れ落としに使う。 |
中性の洗剤 | テーブルや浴槽、シンクなど木製・ステンレス製品の素材を傷めないように使う。 |
酸素系漂白剤 | 色柄モノにも使える。ツンとした刺激臭がない。 「過酸素ナトリウム(アルカリ性)」「過酸素水素(酸性)」の2タイプがある。 |
塩素系漂白剤 | 強い漂白作用と除菌・脱消臭効果がある。キッチンや浴槽のカビ掃除に使われる。使うときはよく換気しよう。 |
還元型漂白剤 | 弱アルカリ性。赤サビや黄ばみ・シミのほか、塩素系漂白剤による一部樹脂加工品の変色を回復する。 |
掃除の素材
ステンレス製品 | 具体例:ステンレス製のキッチン用品や家具、キッチンシンク。 注意点:柔らかい布に少量の中性洗剤を含ませ、ステンレスの繊維方向に拭き取る。指紋が気になる場合は、拭き終わったらドライクロスで仕上げる。 酸性洗剤はステンレス表面を溶かしてしまうため、絶対使用しない! |
木製家具 | 具体例:テーブルや椅子、タンス、敷居など。 注意点:水気に弱いため、軽く湿らせた布で拭く。木専用クリーナーを使うか、中性の石鹸を薄めたもので拭く。 |
タイルやシート床 | 具体例:リビング、廊下、お風呂場など。 注意点:中性の床用洗剤を使って掃除。タイルの目地には専用の目地用クリーナーを利用し、頑固なシミは歯ブラシを使ってこすり洗い。 シート床は柔らかいモップやぞうきんを使用して(地道に)拭き掃除。 |
ガラス/ 鏡 | 具体例: 洗面台のガラス、窓ガラスなど。 注意点:中性のガラスクリーナーを利用すると早い。新聞紙やクリーニングクロスを使って磨くと、ムラなくキレイに仕上がる。 アンモニアや酢を含む洗剤は避け、特に反射材質には注意が必要。 |
布製品 | 具体例: 衣類、カーテン、ソファー、カーペットなど。 注意点:布製品は素材によって異なる。取り外し可能なものは洗濯機。 取り外しが難しい場合やカーペットのような大型のものは、専用クリーナーや掃除機のブラシアタッチを使って汚れを取ります。 熱湯で殺菌も有効(火傷に注意。浸透して水浸しにならないように量に注意)。 |
ごみの分別
掃除をしたらゴミが出ます。ごみの分別は、基本的に自治体のルールに従いますが、大まかな分類は共通しているので、すぐ捨てられるように分けておきましょう。
また、家庭によってごみの種類と量が偏ることがあります。ごみの量に合わせた適切なサイズのごみ箱を用意しておくことも重要です。
燃えるごみ | 紙くず、雑誌、生ゴミ類。水気の多いものは、ゴミ袋から滲み出すことがあるので注意。夏場は生ゴミが臭うので、ビニール袋で密封して捨てておくと匂いが低減できる。 |
プラスチックごみ | 包装、プラスチック容器など。 |
ペットボトル | 飲み終わったら、軽くゆすぐこと。ラベルは取り外して燃えるごみへ。 |
ビン | 色別に透明・緑色・その他など分類されていることが多い。捨てるときに割れないように注意。 |
金属ごみ | アルミ・スチールで分かれている。電池やバッテリーを使う小型家電は不燃ごみです。 |
ダンボール | 折りたたんだら、紐で縛ってまとめる。結ぶのが苦手な人は、ガムテープや結束バンドでまとめると簡単に処理できる。 |
不燃ごみ | ビニール袋などにまとめておく。バッテリーは発火の恐れがあるので捨てられません。家電量販店やホームセンターのリサイクルで処分しましょう。 |
粗大ごみ | 家具やタンスなど。自治体によっては、粗大ごみの収集を申し込むと有料ですが取りに来てくれます。費用は種類によって異なります。 |
汚れはすぐに落とす
汚れは早いうちに対処することが大切。時間が経つとこびりついてしまい、手間がかかる可能性があります。
汚れたらすぐに取り除くように心がけることが長い目で見て時間の節約になります。
- 汚れるすぐ近くに、掃除道具を置いておこう
- よく汚れる場所にはウエットティッシュを置いておくと、拭き掃除が習慣になりやすい
- 予防策を検討のため、カバーやマットの使用、汚れがつきにくい素材を選定する
洗濯
気をつけること
洗濯は洗濯機に放り込むだけではありません。
大切な衣類が傷んで悲しい思いをする前に、気をつけることを分類分けしてみました。
色の分類 | 明るい色と濃い色の分離: 濃い色の衣類から色移りする可能性があるため、明るい色と濃い色は分けて洗濯します。新品のジーンズや手染め衣類は、特に注意が必要です。 白い衣類の単独洗濯: 白い衣類は他の色と混ぜないようにし、白さを保つために単独で洗濯します。 |
素材の分類 | 綿とポリエステルの違い: 綿とポリエステルは異なる特性を持っています。特に綿100%は縮みやすく乾燥機に入れると一発アウトになることもあるので注意が必要です。「ポリエステル65%、綿35%」のような混紡素材は双方の特徴を兼ね備えて扱いやすいと言われています。 デリケートな素材の単独洗濯: シルクやウールなどのデリケートな素材は優しく扱うために単独で洗濯します。もし、一緒に洗濯する場合は洗濯ネットに入れたり、手洗いモードで洗濯しましょう。大切に長く使いたい場合は、クリーニングに出すことも検討してください。 |
汚れの程度による分類 | 汚れの程度による分類: 酷く汚れた衣類と軽い汚れの衣類は分けて洗濯しましょう。それぞれに適した洗剤や洗濯モードを選択します。泥汚れは、乾いた状態で固形の砂や泥をはたき落としてから、汚れがひどい場合は洗剤を直接塗布したり、つけ置きしてから洗濯しましょう。 |
特殊な衣類の扱い | 防水加工や撥水加工された衣類の分離: 防水や撥水加工が施された衣類は、通常の衣類とは別に洗濯します。撥水加工を保つための専用洗剤や中性洗剤が必要です。 アウトドアウェアの特別なケア: 登山用や防寒着などのアウトドアウェアは、特殊な素材や構造を持っているため、専用の洗濯方法が必要です。 |
シミがついたときの対処
- こすらない(被害が広がる)
- ぬるま湯や水で流す(シミにタンパク質成分がある場合、熱で凝固する)
- 洗剤を使うなら、中性洗剤(塩素系は色落ちの原因になる)
落ちないシミは、ぬるま湯でつけ置きしましょう。洗剤を使う場合は歯ブラシを使えば汚れをピンポイントで狙えます。
泥はね・泥汚れは、乾くのを待って、はたき落とします。ある程度、汚れを落とせたら、ぬるま湯で揉み洗いして洗濯機へ。(泥汚れに漂白剤は効果なし)
洗濯後の干し方
洗濯物の干し方には決まったルールはありませんが、繊細な衣類は水分の重さで型くずれしてしまうことがあります。
せっかく綺麗に洗濯したので、しっかりと乾かして良い状態を保ちたいですね。
- タオルなどの長いものは横向きで干すと早く乾く(上から下方向へ乾くため)
- 長いものほど、外側に干す
- 干す前に、しっかり振って形を整える(乾きやすいように広げておく)
- ニットなど伸びそうな素材は、平干し(重力で形が崩れないように注意)
子どもの肌荒れに気をつけたい方
日本では液体洗剤・ジェル洗剤が7割以上の家庭で使用されています。
液体洗剤利用率約7割!粉末洗剤利用率約2割!洗濯洗剤に関する利用調査を実施~チャンスイット~
出典(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000013251.html)
粉末洗剤は、冬場に洗剤残りの可能性が発生するため、界面活性剤が残ったことで肌荒れの原因になる可能性も。子どもがいる家庭では特に液体洗剤を使用するほうが無難でしょう。
なかでも。肌が敏感な人や乳幼児の衣類には、低刺激性の洗剤を選ぶことが大切です。
石鹸が主成分であったり、界面活性剤不使用のものなどは肌に優しいとされていますが、必ずしも肌の悩みが改善するわけではなく。個人差があるため試してみないと分かりません。
ベビー用品には敏感肌用も多いですが、安心して使える洗剤を探すことは家族の健康維持のためにも重要です。
料理
料理が趣味、というパパも多いと思います。
しかし、普段は殆どしない方は「自分は無理」と諦めていませんか?
手の込んだ料理ができなくても、できることはたくさんあるのです。
保管方法
買ってきた食材や調味料を「片付けておくね」と安心して言えるようになりましょう。
野菜類 | ビニール袋、ジッパー、新聞紙などに包み野菜室へ。野菜をそのまま入れると、すぐに乾燥してしまいます。濡れている場合は、水気を拭き取っておきましょう。 じゃがいも、さつまいも、玉ねぎなどは15℃~20℃くらいが適温なので常温保存。夏場は暑くなるので野菜室へ。 |
肉類 | すぐに使う場合は冷蔵庫へ。 冷凍する場合は、ドリップ(肉から出ている液体)を取り除くために、パックから取り出して密閉保存袋で包んで保管しましょう。冷凍していても、お肉の賞味期限は1ヶ月ほどが目安です。 |
調味料 | いつも収納しておく場所を事前に把握しましょう。その際に、在庫が何本あるか確認を忘れずに共有しよう。 |
作り置きしたおかず | ある程度冷めてからラップをかけて冷蔵庫へ。鍋料理の残りなどを熱いまま冷蔵庫に入れてしまうと、冷蔵庫の温度が上昇して他の食材の鮮度が落ちます。一回で食べれる量に小分けしておくと次食べるときに楽。2~3日で食べきれない場合は冷凍保存。 |
簡単(と思われる)レシピ
数多くのレシピサイトの中から簡単で子どもも一緒に食べられそうなレシピをピックアップしてみました。
【クラシル】茹でたらボウルで混ぜるだけ!簡単クリームたらこパスタ レシピ・作り方
https://www.kurashiru.com/recipes/f2745d67-1134-4a9f-af92-07abc4a89d21
(他にも見つけ次第、追加していきます)
幼児期にできること
乳児の場合、父親ができることはミルクを作ったりサポートに徹することが多いです。
そのなかで、すぐにできるようになって役に立てる可能性があるものをリストアップしてみました。
~6ヶ月の乳児
- 食材の買い出しや片付け
- 洗い物
- ミルクづくり(容量を事前に把握しておく)
- 熱湯消毒用のお湯を沸かしておく
- ママにお茶を入れる
離乳食が始まったらできること
- 食材の買い出しや片付け
- 洗い物
- 離乳食を食べさせる
- 食器の清掃・消毒
- レトルトの離乳食を適温に温める
何も作るだけが料理ではありません!買い出しから片付けも含めて炊事という家事なのです。出来合いのものを温めて出すだけでも十分。
もし美味しい料理がつくれなくても、炊事で家族に喜んで貰えることはたくさんありますね。
片付け
物の整理整頓はストレスを減少させます。
収納術や片付けのコツを身につけ、家を快適な空間に保ちましょう。
子どもが小さいうちは、パソコンなどは壊れると困るため、手の届かない場所に置きましょう。
子どもと一緒に片付けできる空間をつくる
オープンシェルフの利用
低い位置にオープンシェルフを配置して、子どもが自分で物を取り出しやすくしましょう。ラベルや絵で中身を分かりやすくすると、片付けもしやすくなります。
収納ボックスやバスケットの活用
バスケットや収納ボックスを使って、似たようなアイテムをグループ化しましょう。子どもが取り出しやすいように、開口部が広くなっているものが適しています。
高い場所への保管
危険な物や子どもにとって取り扱いが難しい物は、高い場所に収納しましょう。キッチンや洗面所などの高いキャビネットが適しています。
使い捨ての整理ボックス
季節ごとのアイテムや成長に合わせて使わなくなるものは、使い捨ての整理ボックスにまとめて収納し、必要な時に引っ張り出せるようにしておくと便利です。
コンパクトな収納家具
小さい部屋でもスペースを有効に使うために、コンパクトな収納家具を選ぶと良いです。折りたたみ可能な収納ボックスや家具などがあります。
子どもと一緒に行う
子どもが成長するにつれ、一緒に片付けることで自主性や協力心を養います。楽しみながら行うことが大切です。
子どもの安全対策
子どもが危ないことをしていないか、ずっと見張っているわけにはいきません。子どもの安全対策は、子どもだけでなく見守るママ・パパの助けにもなります。
子どもが安心して生活できる環境作りの中でポイントをご紹介します。
子どもの目線で考える
子どもは親が思っているよりもずっと低い目線で過ごしています。
そのため、不意に手でテレビの足を掴んで倒してしまったり、机の天板が頭にぶつかったりと、親が普段は気づきもしない場所に危険が潜んでいます。
家庭内で子どもが安全に過ごすための工夫(0歳~6歳を想定)
- 窓際・ベランダに近づけさせない、開けない
子どもは高いところが危ない、という認識がありません。小学生になったとしても、自分が落ちたらどうなるか分かっていない子もいます。
窓やベランダからの転落事故を防ぐには、「窓は絶対に開けっ放しにしない」「ベランダには何があっても出れない」ようにすることが大切です。
窓の鍵だけでは手遊びしていて開いてしまうこともあるので、ドアロックは必ずつけましょう。
- 電源・コンセント
特に幼児期は、何でも口に入れてしまいます。コンセントも危ないという認識はありませんので、コンセントの入り口は完全に隠してしまうことがおすすめです。
遊びでコンセントに細いものを突っ込むこともあるので、使わないコンセントにはカバーをつけて隠しておきましょう。
- 角にはクッションを貼る
家具のデザインを損ねるかもしれませんが、子どもの安全のほうが大切です。角が危ない家具があれば、迷わずクッションをつけましょう。家中のすべての角を無くすことはできませんので、子どもが良く生活する場所を中心に、子どもの目線(特に頭の位置)に注意をはらいながら動きを確認してみることが大切です。
- 入っては行けない場所は、ベビーガードをつける
キッチンや家電が置いてある場所は、ベビーゲートを付けて入れなくすることを検討してみてください。
はじめはベビーガードの開け締めは面倒に感じますが、そのうち慣れます。子どもがキッチンで大火傷や大怪我をする可能性を限りなくゼロに近づけることが何よりも重要だからです。
- テレビや家具が動かないようにする
子どもには、世の中のもの全てがおもちゃに見えます。家具やテレビは動かないように固定しましょう。
食器棚や小物が入っているタンスなどは、開かないようにロックをつけてしまうことも検討してみてください。
- ベビーガードで完全に囲う
子どもが歩き始めるあたりまでの策です。ベビーガードで完全に四方を囲んでしまうことで、赤ちゃんだけの安全領域が作れます。親の生活は二の次になるように思えますが、「安心してすごせる時間」が生まれることが何よりも貴重です。
おわりに
家事は一人ではできません。様々な知識とモノを駆使しつつ、家族でコミュニケーションをとることで、はじめて快適な暮らしを続けることができます。
共働きが当たり前のなか、仕事に家事に追われてしまわないように効率的に動けたらと思います。
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